精神(こころ)身体(からだ)の両面から患者さんを支える

精神疾患をお持ちの患者さまは、身体的な疾患を抱えてしまうことがあります。これらの症状は「身体合併症」または「精神科身体合併症」と呼ばれています。当院では内科的側面に重点を置き、様々な種類の身体合併症に対応しております。
おもな身体合併症をご紹介します。当院ではこれらの患者さまの対応が可能です。

おもな身体合併症の分類

原因代表的な疾患
精神 身体精神症状による行動が原因の身体疾患・自傷行為などによる外傷
・保清困難による皮膚疾患や歯科疾患
・拒食による低栄養状態
・長期のアルコール過剰摂取による肝障害 など
精神 身体精神疾患に偶然併発した身体疾患・感染等による急性肺炎
・生活習慣病 肝硬変 サルコペニア などの慢性疾患
身体 精神脳以外の身体疾患が原因で精神症状をおこすもの・甲状腺などへの内分泌疾患
・糖尿病や尿毒症などの代謝性疾患
・膠原病(SLE・シェーグレン症候群・リウマチなど)
・全身性疾患(サルコイドーシス・ベーチェット病 血管炎など)
精神 身体向精神薬の影響・副作用で発症した身体疾患・不整脈 悪性症候群 水中毒 骨粗しょう症
・肥満や生活習慣病
・尿閉 イレウス など

取り組み

定期的な検査

精神的な疾患のある患者さまは衛生面等の自己管理が難しい、痛みなど体の変化を訴えることが困難なことが多いため、病気が進行してから発見される場合があります。当院では外来患者さま・入院患者さまに、血液検査など基本的な検査を定期的に行うことで疾患の早期発見に努めております。

口腔ケア

栄養を効果的に体内に摂り入れるには、口からの摂取が最も有効な方法です。当院では入院患者さまに食べる喜びを感じていただく観点からも口腔ケアに力を入れ、嚥下(えんげ)内視鏡、訪問歯科、摂食機能のリハビリを導入しています。

対応困難な患者さまの受け入れ

身体疾患のある患者さまに精神的な症状があると、医療機関での受け入れが困難な場合があります。当院ではこれらの患者さまの入院受け入れを積極的に行っております。

身体疾患の原因が特定できない患者さまの診察

症状の原因が特定できず精神科を紹介される患者さまがたびたびいらっしゃいます。精神症状は内科的な要因のものや薬の併用から起こっていることもあり、内科的な治療や減薬の調整が進めば精神症状が落ち着く場合があります。当院では精神科医と内科医が連携して症状がどこからくるものかを判断し、ポリファーマシー(薬の多剤併用)対策も行いつつ回復を試みています。

設備の拡充とMPU(身体合併症病棟)

当院では身体管理を重視したケアが必要な患者さまはMPU(=medical psychiatry unit、身体合併症病棟)で心身両面の管理を行っています。また検査設備を拡充し、緊急でCTが必要な場合も車で3分ほどの前橋城南病院と提携し、ドクターカーによる搬送で迅速な検査実施を心がけております。

院内設備

レントゲン室

身体的な疾患の有無を確認します。デジタル処理により、被ばく量が少なく高画質な画像で診断できます。

回診用X線撮影装置

持ち運びができるレントゲン装置です。レントゲン室への移動が困難な入院患者さまの疾患の確認に使用します。

上部内視鏡(胃カメラ)

口または鼻からカメラを入れ、食道・十二指腸・胃などを検査します。

耳鼻咽頭鏡

嚥下内視鏡検査(VE)に使用する機器です。食物を飲み込む様子を観察し、嚥下機能が正常に働いているかを確認します。

超音波診断装置(エコー)

患者さまの病室でレントゲン撮影を行うことができる、持ち運び可能な装置です。入院患者さまの疾患の確認を行います。

ポータブルエコー

手持ちのスマートフォンなどと連携し使用できる携帯型エコーです。当院ではおもに電子カルテ閲覧用のタブレットで使用し、より迅速に検査を行っております。

脳波計

脳から出る微弱な電気信号を記録することで脳波の変化が確認できる機器です。てんかん発作や意識障害のある患者さまに使用します。

心電計

心臓の電気的な活動を調べる(心電図検査)機器です。病気の診断はもちろん、治療効果や薬の副作用を確認する際にも使用します。

全自動血球計数器

血液中にある赤血球数や白血球数、ヘモグロビン濃度、血小板数などを調べることができます。

臨床化学分析装置

CRPを測定する装置です。CRPは炎症や細胞、組織破壊が起こると血中に増加するタンパク質で、急性炎症の把握で使用しています。

血液ガス分析装置

主に呼吸状態を調べる検査に使用しており、血液中の酸素や二酸化炭素の量などが測定できます

輸液ポンプ

点滴の投与量や速度を管理することができます。正確な調整が必要な場合に使用しております。

シリンジポンプ

注射の投与量や速度を管理することができます。点滴より薬剤の量が少ない場合や、正確な調整が必要な場合に使用しております。

栄養ポンプ

鼻や胃瘻などから直接栄養や薬剤を体内に送り込む(経腸栄養)際、栄養や薬剤の量やスピードを調節する機器です。

持続血糖測定器

皮膚に機器を装着することで14日間継続して血糖値が測定できる機械です。インスリン療法を行っている患者さまには保険が適用されます。

PCR検査装置(NEAR法)

新型コロナウイルス感染症診断の検査機器です。一般的に知られるPCR検査と同等の精度の判定を15分弱で行うことができます。

人工呼吸器

自発呼吸ができない患者さまに、呼吸の代理や補助を行い、肺の負担を軽減するための機器です。

サーボドレイン

肺気胸や肺膿瘍など胸腔・腹腔等に溜まった空気や膿、粒状物質を体外へ排出するために使用する機器です。

ベッドサイドモニタ

モニターと呼ばれ、心拍・呼吸・血圧・酸素飽和度など、患者さまの生命兆候を常時監視する機器です。

除細動器

心停止やけいれんを起こした心臓に電気ショックを与え、心臓を正常な活動に戻すための機器です。

CO2センサキット

ベッドサイドモニタや除細動器に接続するオプションで、気道状態や呼吸状態を確認することができます。

骨髄穿刺システム

心停止した患者さまの救命措置に使用します。輸液や薬剤を投与するためにドリル式の針で骨に穴をあけ、骨髄に直接注入します。

CVC(中心静脈カテ-テル)キット

当院では栄養輸液などをより効果的に投与したい場合、体の中心に近い静脈に管を入れるCVCを行っております。

マックグラス

カメラとライトを内臓している咽頭鏡。気管挿管をしやすくすることで、感染症を持つ患者さまからのエアロゾルによる曝露リスクをさらに低減させることができます。

CVC(中心静脈カテーテル)キット