■精神科看護の原点 ― なぜ、その患者さまは水を飲まないか
ある日患者さまが急に水を飲まない状態になった。
それは体調が悪いのか、何か嫌なことがあったのか、何かの意思表明なのか。同じ「水を飲まない」という行為も理由や背景はその日によってさまざまで、想定できる理由の「引き出し」の多さが、どうしたらその患者さまが水を飲む状況になるかを考える糧になる。
精神科看護は、日ごろから患者さまをこのようによく観察し、気づき、見守ることが大切です。そこから患者さまとの信頼関係が生まれ、前へと進む一歩になる。わたしたちは、そのような精神科看護の原点を大切にし、長らく続けてまいりました。
また、患者さまとご家族さまが安心して生活できる環境とは何かを最優先に考え、院内他職種と看護スタッフとが迅速に、密に連携していることが大きな特徴です。精神科ドクターカーの運用やDPAT(災害派遣精神保健活動)の活動も、そうした日常のチームワークで実現しています。
■早期の社会復帰を目指す精神科病院へ
当院では従来の療養型の精神科病棟のほか、身体的な症状を併せ持つ身体合併症病棟、重度かつ慢性期病棟そして、2020年より精神科急性期治療病棟を開設し、どのような患者さまも入院を断らない病院を心がけております。
看護師の活躍の場は広がりを見せています。中心静脈栄養や気管内挿管などの内科的技術、さらにアルコール依存症プログラム、発達障害プログラム、睡眠検査、訪問看護やリワークなど、患者さまの早期社会復帰に向けて大きく貢献ができる環境です。
当院は精神科看護の原点を大切にしつつも、新しい精神科病院へと舵を切ったばかりです。これは職員教育やスタッフの意識の転換期でもあり、課題もあります。当院にご興味をお持ちになられた看護経験のあるみなさん、ぜひこれまでの経験を活かすべく、力をお貸しください。
2021年4月1日 | |
医療法人高柳会 赤城病院 | |
看護部長 | 鈴木 教夫 |