当院では2020年4月より「MOBILE PCU」が本格稼働しました。MOBILE PCUとはpsychiatry care unit=移動型精神科治療室の略で、救急車型のドクターカーを使用した当院独自の精神科救急体制です。
主な活動は2つあります。ひとつは救急医療機関に精神症状がある患者さんが搬送された際に要請を受けて現場に赴き、救急医(身体的症状)と当院の精神科医師(精神的症状)の両面の視点で患者さんを診察する活動(側方支援)と、もうひとつは本人の同意と署名を得たのちに、当院のドクターカーでかかりつけ医や受け入れ可能な病院へ搬送するという活動(後方支援)です。
出動は精神科医(精神保健指定医)、看護師、PSW(精神保健福祉士)、業務調整員(兼ドライバー)の4名体制です。
精神的な疾患の症状に身体的な疾患があることを「(精神科)身体合併症」と言いますが、これらの患者さんの救急搬送では搬送先の医療機関に精神科医がいないなどの理由で、身体合併症の患者さんの治療の判断や受け入れ先への搬送に多くの時間がかかる場合があります。
赤城病院では2019年秋にドクターカーを導入してMOBILE PCUの試験運用を始め、当院と連携している救急病院を対象にこれらの問題に取り組んでおります。
出動先の救急医療機関では、救急医と当院の精神科医とで患者さんの状態を把握し、最適な治療のために優先すべきことを判断、決定します。別の医療機関へ搬送する際には、その場で当院スタッフが密に連携して受け入れの交渉や患者さんについての情報提供を行いますので、治療までの時間のロスをさらに減らすことができます。
赤城病院は、救急搬送された精神症状のある患者さんが迅速に治療を受け、早期回復につながるよう、今後もこの体制で精神医療を継続し、患者さんをはじめ、関係各所や地域のみなさまに貢献してまいります。