〜私たちは、あなたの一歩をいつでもお待ちしています〜
アルコール依存症とは、「お酒をやめたいのにやめられない」「気づくと飲み過ぎてしまう」といった飲酒行動が、自分の意思だけではコントロールできなくなる病気です。
本人の性格や意志の弱さが原因ではなく、脳の働きに変化が生じることによって引き起こされる「治療が必要な病気」です。
また、依存症には「自己治療仮説(セルフメディケーション仮説)」という考え方も注目されています。
これは、不安・孤独・ストレス・不眠・生きづらさなどの心の苦しみを和らげる手段として、お酒に頼るようになってしまうというものです。
最初は眠れない夜や気持ちを紛らわしたい時に少しだけ飲んでいたお酒が、やがて日常的な習慣になり、次第に飲酒量が増え、抜け出せなくなってしまうそんな経過をたどる方も少なくありません。
アルコール依存症には、以下のような症状や行動がみられます。
ひとつでも心当たりがあれば、早めの相談・受診が回復への第一歩となります。ご本人はもちろん、ご家族からのご相談も受け付けております。
アルコール依存症は、誰にでも起こりうる身近な病気です。
しかし、本人が自分の状態を「問題」と認めづらく、症状が進行してから周囲が気づくことも多くあります。そのため、「否認の病」や「孤立の病」「孤独の病」とも呼ばれています。
ここで、依存症の回復において大切な考え方として知られているのが、「アディクション(依存)の対義語は、コネクション(つながり)」という言葉です。
孤独や断絶のなかで深まっていく依存症に対して、人とのつながりや支え合いが回復への鍵となります。
赤城病院は、群馬県に認定されたアルコール依存症治療の専門医療機関です。一人ひとりに向き合う中で積み重ねてきたことをもとに、専門的なプログラムを実施しています。
医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、薬剤師、栄養士、事務職員など、多職種の専門スタッフがチームを組み、治療を行っています。
入院だけでなく、外来での支援にも力を入れており、治療の継続や再発予防にも丁寧に取り組んでいます。
1. 入院初期(約2週間)
まずは身体から安全にアルコールを抜く「解毒治療」を行います。
この期間は、離脱症状(ふるえ・不眠・不安・発汗など)や身体の合併症の有無を確認し、症状に合わせて医療的なサポートを行います。また、身体的な評価を行いながら、ご自身の健康状態を一緒に振り返り、治療への動機づけにつなげていく面接も行っています。
2. 回復期プログラム(約6週間)
解毒後は、久里浜医療センターが開発した集団認知行動療法「GTMACK」を中心としたプログラムに参加していただきます。
このプログラムは、アルコールに関する正しい知識を深めながら、断酒に役立つ具体的なスキルや考え方、生活習慣の見直しなどを行い、再出発に向けた土台を築くものです。
グループワークや、個別支援などを通じて、自分自身を見つめなおす機会にもなります。
3. 退院支援・外来プログラム
入院治療のあとも、継続したサポートがとても大切です。
当院では、外来でのフォローアップや、外部との連携プログラムへの参加をご案内し、退院後も安心して断酒生活を続けられるよう支援します。
赤城病院では、外部との連携プログラムも実施しています。
入院中から参加でき、退院後のつながりをつくる場にもなります。
■ DARC(ダルク)
薬物・アルコール・ギャンブルなどの依存症からの回復を支援する団体です。
体験談の共有や仲間との交流を通して、安心して断酒に取り組める環境を提供しています。
■ AA(アルコホーリクス・アノニマス)
「飲酒をやめたい」と願う人なら、誰でも参加できるアルコール依存症者のための国際的な自助グループです。
同じ経験を持つ仲間と語り合い、支え合いながら回復を目指します。
こうした活動は、回復の道を一人で歩まなくていいという大きな安心感につながります。
私たちは、こうしたつながりも大切にしながら、社会復帰への橋渡しを行っています。
アルコール依存症は、家族全体に影響を及ぼす病気でもあります。
ご本人が問題を自覚していなかったり、受診を拒むことも少なくありません。
そんな時、ご家族が「どうしたらよいかわからない」と悩まれるのはごく自然なことです。
当院では、ご家族からのご相談にも対応しています。
家族相談を通じて、まずは今の状況を整理し、どのような対応が可能かを一緒に考えていきましょう。
「本人が受診してくれない」
「自分たちだけでは限界だ」
「話を聞いてもらいたい」
そんなお気持ちがあれば、どうぞ遠慮なくご連絡ください。
〜 つながることで、はじまる回復 〜
アルコール依存症は、適切な治療と支援によって回復が可能な病気です。
今はつらくても、そこから抜け出し、安心して暮らせる日常を取り戻すことができます。
「こんなこと相談してもいいのかな?」
「自分はまだ大丈夫だと思うけど…」
「相談するほどではないかもしれないけど」
小さなきっかけからでも構いません。 “少し話してみようかな”と思えたときが、つながるタイミングです。